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2025年  1月(1)  1月(2)  2月

  


2025年

2月号

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柿取り 大作戦 顛末記

 

 2月となりました。
 もはや寒すぎて、去年のあの夏の酷暑でさえ、まさしく「喉元過ぎれば熱さを忘れる」と懐かしく思い出されます。そしてあの夏の置き土産として、短い秋に1つだけ良いことがありました。それは、庭の柿が爆発的に大豊作となったのです!
img 毎秋、カラスと喧嘩しながらもちょいと収穫した柿を隣家数軒にお配りしていたのですが、今回それだけではさばききれず、もう常軌を逸した柿たちの群勢を目にすると、だんだんストレスになってきました。とにかく、毎朝起床するやいなや、柿取り大作戦を開始。サビついた柿取り棒(半分バネが壊れている)を、たわわに実った柿ども相手に、孫悟空の如意棒の如く振り回し格闘していたのですが、ひょんなことから終わりがきました。
 「柿の木は折れやすいから絶対登るな、柿取りは命取り」とのご近所さんアドバイスに、「神奈川県主婦、柿取りで窓から落下!」という自分のイメージ記事が頭に浮かび、すっかりヤル気を無くしたのです。もうこうなったら植木屋さん頼みだと、まずは区役所のシルバー人材センターに連絡すると、「職人が高齢者なので登れる高さの規定あり、柿取りは無理」とバッサリ。次に探した造園会社は「こんなに高い木の柿取りは危険。伐採だけならツゲ、サルスベリなど合わせて3本で10万円」との予期せぬ見積もりに仰天却下。
 最後に望みをかけて、折込チラシの植木屋さんに連絡を取ると、「柿取りOK、他の木を伐採しても、込みで4万円」という、地獄で仏に出会ったような良心的な職人さんが一人でやってきたのです。そして、あっという間にヒョイと幹に命綱を掛け、スルスルと登っていくではありませんか!そしてその収穫数、なんと100個!感激のあまり30個くらいを帰りがけにお裾分けすると「柿食うと血糖値が上がりますんで、いらないっス」と一言残して軽トラで颯爽と帰っていきました。日本一を思わせる柿取り名人の技に「これこそがプロの流儀」と、最敬礼でお見送りしたのは言うまでもありません。

映像:坂口行雄
文と写真:町田香子

 

 

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1月(2) 1月号

 

☞ コンテストの結果の詳細はこちらクリックしてご覧になれます。

 

 

 

障害者差別解消法 を学ぶ!

 

あけましておめでとうございます。

今年も「まちだより」をよろしくお願いたします。

 昨年末に、ぜひとも聞いてみたかった「障害者差別解消法を学ぶ」講座に参加してきました。そのわけは去年のNHK朝ドラ「虎に翼」に感激、自分が遠い昔にいっぱしに法律をかじったことを思い出し、裁判のサスペンスドラマに夢中になったり、初めて実際に横浜地裁の裁判傍聴に行ったりもしました。
 当日の講座の講師の方は、生まれつき耳が聞こえない弁護士さんでした。健聴者でも合格するのが難しい司法試験突破の苦労を、微塵にも感じさせない優しい手話と口語で話してくださいました。まさしく、弱気を助け強気をくじくイメージのその大柄な弁護士さんは、困りごとを相談したら、どんな案件でも勝利を勝ち取ってくれる気がしました。

 印象に残った話は、法律云々よりも彼の生い立ちの中で、法科大学院でのゼミでの話でした。ノートテイカー(聴覚障害のある学生に授業時に手書き又はパソコンで先生の話を伝える)を募集したところ、100人もの学生が応募してきたとか!また、ゼミのメンバーのコミュニケーション方法では、全員がパソコンを持ち寄る方法で、
1. 笑い声やクシャミ以外は声出し禁止
2. 全員がチャットの文章だけで会話
3. 飲み会でも皆が筆談
この3つを実践したそうです。
 これこそが、障害者差別解消法の基本だと思いました。
 そして、現在世の中でさかんに提唱されているインクルーシブ教育(障害の有無にかかわらず共に学ぶ仕組み)がその頃から、若い学生たちに芽生えていたのだなあとしみじみ思います。

 今や大劇場では、タブレットの貸与もあり、聴こえない人も字幕表示でセリフや歌を楽しめるようになったのだそうです。全国には聴こえない人でも資格を取り、医師や薬剤師として働き、埼玉県や京都にはバスの運転手さんもいるそうです。

 先日、聴こえないお子さんを持つ若いママが「2025年11月にはデフリンピックがあるんです!今から息子と楽しみなんですよ~!」と嬉しそうに話していました。それを聞いて、手話のボランティア活動に背中を押された気がしました。時々参加する、聴こえない人々との地元飲み会では、手話の早さについていけず、いつも皆のアルコールの追加注文を頼む役目に走ります。「ビール2杯おかわりでーす!」という私の声だけが静かな居酒屋に響きます・・・。

 今年11月のデフリンピックを目標に、もっとレベルアップしたお手伝いができればよいなと思います。

 

 
映像:坂口行雄
文と写真:町田香子

 

 

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1月(1) 新年号

 

 

 

障害者差別解消法 を学ぶ!

 

あけましておめでとうございます。

今年も「まちだより」をよろしくお願いたします。

 昨年末に、ぜひとも聞いてみたかった「障害者差別解消法を学ぶ」講座に参加してきました。そのわけは去年のNHK朝ドラ「虎に翼」に感激、自分が遠い昔にいっぱしに法律をかじったことを思い出し、裁判のサスペンスドラマに夢中になったり、初めて実際に横浜地裁の裁判傍聴に行ったりもしました。
 当日の講座の講師の方は、生まれつき耳が聞こえない弁護士さんでした。健聴者でも合格するのが難しい司法試験突破の苦労を、微塵にも感じさせない優しい手話と口語で話してくださいました。まさしく、弱気を助け強気をくじくイメージのその大柄な弁護士さんは、困りごとを相談したら、どんな案件でも勝利を勝ち取ってくれる気がしました。

 印象に残った話は、法律云々よりも彼の生い立ちの中で、法科大学院でのゼミでの話でした。ノートテイカー(聴覚障害のある学生に授業時に手書き又はパソコンで先生の話を伝える)を募集したところ、100人もの学生が応募してきたとか!また、ゼミのメンバーのコミュニケーション方法では、全員がパソコンを持ち寄る方法で、
1. 笑い声やクシャミ以外は声出し禁止
2. 全員がチャットの文章だけで会話
3. 飲み会でも皆が筆談
この3つを実践したそうです。
 これこそが、障害者差別解消法の基本だと思いました。
 そして、現在世の中でさかんに提唱されているインクルーシブ教育(障害の有無にかかわらず共に学ぶ仕組み)がその頃から、若い学生たちに芽生えていたのだなあとしみじみ思います。

 今や大劇場では、タブレットの貸与もあり、聴こえない人も字幕表示でセリフや歌を楽しめるようになったのだそうです。全国には聴こえない人でも資格を取り、医師や薬剤師として働き、埼玉県や京都にはバスの運転手さんもいるそうです。

 先日、聴こえないお子さんを持つ若いママが「2025年11月にはデフリンピックがあるんです!今から息子と楽しみなんですよ~!」と嬉しそうに話していました。それを聞いて、手話のボランティア活動に背中を押された気がしました。時々参加する、聴こえない人々との地元飲み会では、手話の早さについていけず、いつも皆のアルコールの追加注文を頼む役目に走ります。「ビール2杯おかわりでーす!」という私の声だけが静かな居酒屋に響きます・・・。

 今年11月のデフリンピックを目標に、もっとレベルアップしたお手伝いができればよいなと思います。

 

 
画像:過去のコンテスト応募の皆さん
文と写真:町田香子

 

 

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2024年

  12月

 

 

 

 

 

小さな 可愛い事件  

 

 自宅に喪中はがきが舞い込む季節となりました。特に同級生が亡くなったという知らせには、急な寒さの訪れとともに寂しさが募ります。そんなへこんだ日々に起こった、小さな可愛い事件で心が温かくなりました。それは、いつもこの「まちだより」の執筆をはじめ、読書など、マイデスク代わりに使っているあるドーナッツショップでの出来事です。

 この秋新発売のアニメキャラクターの袋入りのドーナッツを(かじ) りながらコーヒーを飲み、その砂糖でべとついた手を洗いに席を立ちました。5分もせずに戻ったとき、すぐ近くの若いママと目が合うと、フッと向こうが緊張の面持ちです。嫌~な予感が・・・。すると、突然彼女が私のところに走り寄り、「すみません!私が目を離したすきにこの子が、こちらのドーナッツを(かじ) ってしまいまして!弁償させてください、お金を払わせてください!」と泣き顔でマシンガンドークを飛ばしてくるではありませんか!「えっ?」と何が起こったかすぐに把握できなかったのですが、「ドーナッツを(かじ) られた」という事実を理解できた途端、思わず吹き出してしまいました。なんだか可愛いイタズラにすっかり魅了させられたのです。結局、平身低頭するママが払うという弁償金200円を丁重にお断りして、「バイバ~イ、またねー」と送り出しましたが、そのあともニコニコ気分が続きました。
 この3歳児のイタズラ坊やの行動を私なりに分析してみると、
1. 店に入ると大好きなキャラクタ―の袋にドーナッツが入っている
2. のぞいたら、誰かが(かじ) っている。でも誰も座っていない
3. えーい、ボクも(かじ) っちゃえ~!と、彼は痛快な行動にでた
というストーリーです。
 このラストを飾る「(かじ) られたドーナッツのその後」には考えさせられました。SDGs(持続可能開発目標)に大賛成ですから、破棄はできないと自宅に持ち帰り、(かじ) ったと思われる両端をカットして、結局自分のお腹に収めたのでした。
 この話を何人かの友人に話したところ、「食べている途中で席を立つアンタが悪い」「ドーナッツをその子にあげれば良かったのに」という、思ってもみない指摘を受け、最近勉強したダイバーシティ(多様性)を今後に生かしたい所存です。皆様、今年最後の「まちだより」となりました。この1年間ありがとうございました。
 よいお年をお迎えくださいませ。

 

写真:樫村慶一
文:町田香子

 

 

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11月

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友風関の 激励会!

 

 大相撲力士で、中村部屋所属の友風想大(ともかぜ そうだい)関の激励会なるものに参加してきました。というのは、「友風関とは川崎市の同じ中学の出身で、友風関のママ友」という知人から、後援会主催の激励会があるのでぜひ参加してねと誘われたのでした。

 当日、付き人を二人連れてきた彼の大きいことと言ったら!185センチ、183キロです!ほとんど小高い山のようでした。私は、出席者は地元川崎のタニマチ会を予想、老舗料亭の女将や中小企業の社長さんのお歴々大集合のイメージだったのですが、会場は彼の卒業した中学の校長先生や体育の先生たちでいっぱいだったのです。聞くところによると、柔道部の先生が彼の父親代わりになってスポーツで育てあげたこと、幕内在位中の5年前の場所中に右膝下切断寸前の重症を負って序二段まで番付を下げながらも、昨年4年ぶりに幕内に復帰したことなど、心温まるエピソードが満載でした。

 そういえば、私の忘れられない相撲の思い出は、世紀の番狂わせを国技館でリアルに見られたことです。2003年1月場所で、横綱・貴乃花が平幕の安美錦に負けたのです。興奮したお客に、「危険ですから、座布団は投げないでください!」と館内放送が流れていましたが、すでに隣を見れば、我が父が果敢に座布団を遠投していました。貴乃花引退のニュースが流れたのは、その夜でした。

 さて、友風関の励ます会の最後はくじ引きで、ラッキーなことに「友風タオル」が当たりました。11月の九州場所は、テレビの前でこのタオルを握りしめて彼を応援したいと思います!

 
映像:坂口行雄
文と写真:町田香子

 

   

 

 

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10月

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原稿用紙の 思い出  

 

 8月末の朝日新聞に「原稿用紙の歴史」とも言える記事が掲載されていましたが、私にも原稿用紙とそれを扱う父にまつわる懐かしい記憶があります。

 この記事を担当した朝日の記者は、編集後記で当時のことを「わら半紙、2Bの鉛筆、消しゴム」を原稿書きの三種の神器のように書いてあり、「事件や事故の取材で原稿用紙に書く時間が無いときは、適当な場所で電話で取材メモを読み上げ、支局の記者に書き取ってもらった。経験を積んだ記者になるとトップ記事になるような長行でもメモだけを頼りに送信口でまくしたてた」ともありました。
 そういえば、これはこの記者が八面六臂の活躍をしてた時期からさかのぼること30年、まさしく我が家のことだなと当時が蘇ってきました!すでに、私が小さい頃から、朝日の社会部事件記者だった父は、家のありとあらゆる机に「朝日新聞社」という社名入り2Bの鉛筆と、忘れもしない緑色の升目の原稿が散らばっておりました。
 夜討ち朝駆けの生活のわりには、夜中に記者仲間を連れて帰り、お酒を飲みながら、マージャンをジャラジャラし始めるはで、タバコの煙とやかましさで何度起こされたことでしょうか。でも不思議なのは、母をはじめ家族全員が居酒屋「吉岡」(私の旧姓です)と化したこの騒ぎを、ごく自然に受け止め見守っていたことです。今思えば1分1秒を争うスクープ記事を他社に抜かれまいとする父たちの苦労やストレスが伝わっていたのでしょか・・・。

 松本清張の原稿JIJI.COMから)

 そして、確かにマージャン片手にうちの黒電話の受話器を首に挟み、原稿を読み上げていた父の仲間の姿を覚えているのです!それならまだしも、父の場合は、受話器を持ったまま安心したのか、イビキをかきながら寝ていた姿でした。晩年よく父が仲間から「ヒデさんは、よく電話の向こうで寝ちまってたよなあ。呼んでも起きないんだから」と言われてましたっけ。

 いまでも忘れられないのは父が、「松本清張の原稿用紙の字は判読不明なほど、読みづらかった。しかしあの人は努力の人だ」と語っていたことです。後年わかったのですが、松本清張の原稿の字を専門に判読する係りがいたのでした。

 

  

映像:坂口行雄
文:町田香子

 

 

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9月

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世界一美しい スタバ

 

 この夏、所用で20年ぶりに富山に行くことになりました。
 地獄の炎天下でも、せめて名物の「きときと寿司」と、駅近くにあるという噂の「世界で一番美しいスタバ」だけはなんとしても行ってこようと決心しました。まずは、「お味抜群、お値段手頃」と評判の駅ナカの「氷見 きときと 寿し」に新幹線から直行したのですが、なんと長蛇の列で20人待ち!見ただけでクラッとなり、諦めて駅ビルの喫茶店に飛び込みました。
 さて、リベンジに燃え、次のスケジュールは「スタバ」体験です。アプリや、スタバカード(ゴールド)も持っているスタバファンの私は、きときと寿司にフラれて、所用もそこそこに「スタバ行」が最大の富山ミッションになりつつありました。

左上:環水公園内のスタバ 
右上:富山の薬売り 池田屋安兵衛商店
背景は環水公園

 市内にある「世界一美しい」と謳っているスタバですが、調べてみると、運河を生かした環水公園内にあり、四季折々に変化する見晴らしが美しく、夕方の水門を照らす夕日や夜の公園のライトアップは実に見事なのだそうです。期待に胸を膨らませて、駅の観光案内所でその公園場所を確認、帽子、サングラス、日傘、水持参と完全装備でいざ出発しました。
 歩いて15分とは聞いていたのですが、容赦ない熱い太陽光線、行けども行けども見えない公園に後悔の念が湧き上がってきました。なにせ、人が歩いていないのです。倒れても発見されないだろうし、引き返そうかとサングラスをかけ直した途端、はるか彼方に看板が見えたのです!「STARBUCKS」と。さすが、2008年ストアデザイン優秀賞を受賞しただけの建築物です。芝生が広がる丘にひっそりと立ち、全面ガラス張り。ドアを開けるやいなや、「涼」が私を包んでくれました。
 この暑さにとんでもない行動に走りましたが、アイスコーヒーを一息で飲み干した私に、目前に流れる運河の眺めが、ひと夏の思い出になりました。
 

 
映像:坂口行雄
文:町田香子

 

 

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8月

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フランス人の好きな 日本の映画監督は?  

 

 パリでオリンピック、パラリンピックが開催され世界の注目を浴びたフランスですが、フランス人には日本映画のファンが多いそうです。「大好きな監督は?」と聞くと、黒澤明と並んで「小津安二郎!」と答えが返ってくるとか!
 私のようなスリルとサスペンスの手に汗握る洋画こそが、映画の醍醐味と考えているような俗人には、どうにもピンときません。
 なぜなら去年の5月、たまたま神奈川県近代文学館での「生誕120年、没後60年小津安二郎展」に行き、代表作「晩春」、「麦秋」、「東京物語」のハイライト場面を立て続けに見た時は、いつも主役が怖そうな父親で、淡々とした白黒映画の地味なイメージしかありませんでした。しかしこの夏、映画を撮り終えた新進気鋭の女性監督が語る言葉に、小津作品に対する自分の考えの浅さに気づきました。
 麦秋のポスター
 彼女曰く、学生時代に授業で「麦秋」を見せられ、この作品から何が見えたかという教授の問に、皆が「日常」、「家族愛」だのと答えたところ、「そんなもんじゃない!」と一喝されたとのこと。なんと答えは「テーブル」!その意味は、原節子演じる娘が、明日嫁に行くという前の晩に、笠智衆演じる父親を囲むシーンの真ん中にテーブルがあり、娘が嫁いだ翌日にはそのテーブルが取り払われていた。ここがミソで「家族がバラバラになる人間模様を象徴している」のだそうです。彼女は「小津作品から、映画を見極める力を養ってもらいました」と結んでいました。
 フランス人からも日本人からも愛されている小津監督ですが、両国のファンの共通点を考えるに、責任感の強い父親像が「りっぱなエッフェル塔」であり、「お金に執着しない幸福感」は、自然に滔々と流れる「静かなるセーヌ川」のイメージでしょうか。人生修業が足りない私にはうまく言い表せません・・・。

 

 
映像:坂口行雄
文:町田香子

 

 

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7月(2)

 

 

 

模擬患者  第二弾!

 

 不要不急の外出を控える中、37度の炎天下にも覚悟を決めて家を出ました。
 「川崎市立看護大学の実習授業での模擬患者」としての役割があったのです。以前このk-unetのマンスリーレター(2021年11月号)にも書かせていただいたあの模擬患者役の第二弾です。

 あれから3年、ボランティアを粛々と続けており、今回は「認知症」の役でした。もはや、日々忘れっぽい私には、ピッタリ、簡単な役回りだと高を括っていたのですが、これが大間違い!患者名「川崎A子」なる者のシナリオは「夫の介護の疲れから認知症が悪化、記憶障害、言語障害があり、介護施設に入所中で、楽しみは、おやつのプリンだけ。愛読書は『暮らしの手帖』だが、読むのに天眼鏡を探す。杖を使うがいつも忘れて歩き出す」など暗記するのが大変!でも、とにかくA子の全体像を頭に叩き込みました。

 実習内容は2パターンで、A子が実習生(看護士の卵)を困らせるポイントは2つです。
1、 施設の余暇活動に、実習生がA子を娯楽室の映画タイムに誘うが、なんとしても気が進まないと断る。
2、 入浴タイムで、実習生が部屋に呼びにくるが、A子は理解不能、グズグズして困らせる。

 実習生との色々な問答を想像して、前の晩まで想定会話の復習などをしていたのですが、やはりハプニングはありました!映画のタイトルは、「男はつらいよ」と決まっていたのですが、大勢の実習生の中で誰一人として知っている人がいなかったのです。「渥美清」と言っても「どなたですか?」状態・・・。また、入浴に行くそぶりの際、杖を小道具に使うのですが、杖など使ったことの無い私は足で杖を蹴飛ばして、転びそうになってしまったのです。こればかりは演じなくても普通の年寄りのまんま!
 最後に、実習生の皆と「振り返り」の時間があるのですが、A子になり切った私は、実習生の懸命な対応を思い出し「天使のような微笑と優しさで、寄り添ってくださりありがとうございました。」と言ったら、もう胸がいっぱいになってしまいました。ちなみに、転びそうになった私をスクッと助けてくれた実習生とは、教室を出るときに目が合い、小さく手を振ったら振り返してくれました。
 本当にさわやかな真夏の午後となりました。
 
 
写真:コンテスト参加の皆さん
文:町田香子

 

 

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7月(1)

 
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ツナガル・ブックで コミュニケーション!  

 

 雨の合間に、地元手話サークルの繋がりで川崎市生涯学習講座を受講してきました。タイトルは「NTTテクノクロスから提案・『ツナガル・ブック』から始まる双方向のコミュケーション」です。講師はNTTテクノクロスの社員の方で、ろう者の女性お二人でした。内容は、障がいの有る人も無い人も共に良い職場環境に繋がることを願い、個人の障がいを共有する冊子「ツナガル・ブック」を作った経緯と広報でした。
 この冊子を作ったきっかけは、現実に起こった困りごとからだそうです。たとえば、難聴を周囲に伝えなかったことで、電話に出ないのはズルイと誤解されたり、会議中に聞こえにくいから、文字に書いてほしいと言ったら「大変だから別の仕事の方がいいのでは」と振られたり・・・。そこから判明した「聞こえる人が良かれと思っていたことが、聞こえない人を大きく傷つけている!」という双方の意識のズレの理解を深めることがスタートだったそうです。
 実際にこの冊子を読んでみると、具体的に聴覚障がい者との職場の接し方が書いてありました。1、呼ぶときは後ろからでなく、前から手を振って気づいてもらう。2、相手に自分の口元が見えるように話す。3、ゆっくり話して筆談や身振りも付ける。等々、全て実践的でわかりやすいものです。
 手話サークルに入会して年月だけは長い私ですが、いつまでたっても初級もいいとこです。失敗談も数知れず・・・。忘れられないのは、自己紹介のときに「私は手話がとても下手です」と表したつもりが、ろう者の方々がお腹を抱えて笑っています。こっちは、真面目に大きな口で「ヘタ」と言っているのに!と思っていたら、あとでわかりました。私の手話が「とても上手」になっていたそうです。その後、私はヘンなギャグを言う可笑しい人のイメージになってしまったようです。
 ろう者とスムーズなコミュニケーションをとるのは簡単ではないと思いますが、今回の講座のアドバイスを活かしてより良く「伝えたい気持ち」を表せたらなあと思いました。
 
NTTテクノクロスのホームページ(https://www.ntt-tx.co.jp/whatsnew/2023/230518.html) から「ツナガル・ブック」のpdfを入手できます。是非一度ご覧ください。

 


 
映像:坂口行雄
文:町田香子

 

 

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6月(2)

 

 

 

 

羽ばたけ、 体育会女子たち!

 

 6月も後半になると、新年度の授業にも慣れた学生さんたちは、夏休みに向って楽しみも膨らむ頃でしょうか。
 先日、母校の大学で体育会の新進気鋭の女子学生たちを取材する機会がありました。創設以来の初の女子応援団長をはじめ、2年後のミラノ冬季オリンピックを目指すスピードスケート選手や、女子駅伝で傑出した記録を出しているマラソンランナーたちです。
 まずは、応援団長ですが、学ラン仕様の黒いスーツのパンツルックで彼女がエールを切る姿は、とにかくカッコイイ!年を忘れて「キャーッ、素敵!」と叫びたくなったほどです。今や応援リーダー部はもちろん、吹奏楽団、チア部など総勢100名を束ねている、まさしくトップリーダーです。
 そして、スピードスケート部の女子は、小さい頃の夢は水泳選手になることだったというのですから、人生とはわからないものです。夏休みからは氷上トレーニングを開始、長野と東京の行き来が始まります!と聞くと、そのエネルギーに圧倒されました。
 トリのアスリートは、マラソンランナーですが、中学から始めたきっかけが、球技がニガ手だったからには、笑ってしまいました。「応援してくれる皆に感謝を走りで返したい」という言葉に思わず拍手を送りました。これからの目標は琵琶湖マラソン、杜の都駅伝などでの上位入賞だそうですが、レースのたびにテレビの前にかじりつき、彼女を応援している自分の姿が浮かびます。
 3人の話を聞きながら思ったのは、毎日が身を削る思いで練習に励む日々だと思うのですが、それを微塵も感じさせない、普通の女子大生たちでした。しかも共通点は3人とも可愛いポニーテール!
 実は、私の所属していたサークル・合気道会も、現在主将は女子です。今年の新入部員が10名入ったと聞いて喜んでいたら、男子はたったの2人で、あとの女子8人中の4人は、フランス、アメリカ、中国、シンガポールの留学生でした・・・。いやはや、時代は変わったなあ~と思いながら、「合気道着にピアスだけはやめてね」と言うつもりです。
 
 
写真:町田香子、樫村慶一
文:町田香子

 

 

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 町田さん から/へ のメッセージ

 

 


◆ 「まちだより」へのメッセージ

朝日新聞夕刊の「変わる応援団」という記事で、立教大学の女子応援団長と学ランを着て大太鼓をたたく女学生の写真を見て、いい意味で変わったなと昭和の神宮球場を知るじいさんは思いました。あわせて応援団長は町田さんの「まちだより」に載っていたことに気付きました。

二人ともかっこよく、立大野球部が長嶋、杉浦時代の栄光を取り戻すことを期待しています。

小島敏郎

6/15 小島敏郎


メッセージ、ありがとうございました。

あの大太鼓を叩く女子は、最初見たときは、男子かと思いました。

なんせ、男子の学ランだし、ショートカットだし、エールを切るときは、眉間にシワがよってるし‼️ しかし、30センチのところでお顔を見るとやっぱり可愛いかったです。笑。

望月応援団長がインタビューで現れたときは、木綿の普通のワンピース姿に運動靴だったので、思わず本人とは思いませんでした‼️
愛知県淑徳高校出身で、今は自炊生活のようですが、なんせ毎日遅くまでキツイ練習で、帰宅してご飯を作るパワーも無く、みんなで夕飯は食べに行くそうです。きっと吉野家かラーメン屋なんだろうなあ〜と栄養状態は大丈夫だろうかと老婆心が働きました。
それにしても、3人が3人とも「仲間や先輩後輩に助けられてここまできました」と聞くと、青春て良いなあと改めてです。 ありがとうございました。

町田

6/15 町田香子


◆ 追記事項
 
お気づきの方もいらっしゃると思いますが、立教初の女子応援団長のことを書きましたら、6月12日付けの朝日新聞夕刊に先を越されましたー‼️
なんだか、スクープをすっぱ抜かれたような悔しい気持ちがしております…。しかしながら、あの朝日の記者も立教出身だそうです…。

写真で見るとおりの可愛い感じの女子応援団長です❣️

 

写真は朝日新聞デジタルから引用しました。

 
6/14 町田香子
 

 

 

6月(1)

 
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海外旅行 入国トラブル あれこれ

 

 JNTO(日本政府観光局)によれば、2024年4月のインバウンド(訪日外国人観光客)が、2ヶ月連続で300万人を越えたそうです。一方で日本人の若い女性の一人旅が入国審査の際にトラブルを起こすケースも増えていると報道されています。いわゆる「出稼ぎ」と間違えられるそうですが、旅行会社OBの友人にそのあたりの事情を聞いたところ「そんなことは、以前から山ほどある!特にアメリカが厳しい!」とのことです。
「ある日本人女性なんぞは、アメリカ在住の叔母に1人で会いに行こうとして入国審査で別室に呼ばれた。滞在先を聞かれて叔母からの手紙を見せたところ即刻強制送還!なぜならその愛に満ちた文面『いつ来ても良いし、いつまでもいてもいいのよ』という個所が不法滞在を企てるものだ」と、考えられたからだそうです。
 さらに別の裏話を聞いてみると、2つほど濃い話が・・・。
 1つは、「ツアコンとして同行したある団体旅行で、1人の男性だけがイミグレーションから出て来ない。どうしたものかとひたすら待っていると、その男性の姉が『あっ、弟には小指が無い!』と言い出した。けっして反社会的人物ではなく事故に遭ったからだと、姉と一緒に釈明に行き、無罪放免、一件落着となった」そうです。
 またもう1つの話は、「ある旅行会社の社員数人が海外研修に行き、現地ホテル内旅行デスクで接客研修を行ったところ、全員拘束された。驚いた役員がすぐに日本から現地へ飛び『これは報酬無しの研修だ』と弁明したが、『報酬を得ずに外国人が労働を行う事は現地の人の職を奪うことになる』と言われ即刻退去、その後10年は入国禁止になった」とのことでした。
 いやはや、海外の風光明媚な景色やオシャレなスイーツに憧れますが、私には、やはりポッキーチョコを齧りながら読書に夢中になっているほうが、穏やかで身の丈に合っているのかなと思います。

 

映像:坂口行雄
文:町田香子

 

 

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5月(2)

 

 

 

 

図書館は 最高!

 

 毎週土曜の朝は、朝日新聞の特集・読書欄で、新刊本や今話題の本を探し、品川区大井図書館や川崎市中原図書館にネット予約することからスタートします。これが実に楽しみなのです。自分の好きなジャンルの本を見つけて検索、それが図書館にあればチャチャッと予約し、最後の「予約しました」の完了文字に心が躍ります。最近驚いたのは、人気の絵本「大ピンチ図鑑」(鈴木のりたけ氏)を予約したら700人待ち!これでは待っている子は大きくなってしまうなと思いましたし、ベストセラー「街とその不確かな壁」(村上春樹氏)などは、順番が来るまで結局1年かかりました。
 2館の図書館で常時30冊は予約しているので、読んだ本は必ず読了した日付とタイトルは手帳にメモしておきます。そして、そこに「最高◎」、「普通〇」、「ダメ×」と印も残します。これが不思議なもので役に立つのです。そうでもしないと引っきりなしに読んでいるので、ストーリーとタイトルを勘違いしたり、再度借りようとしてしまうのです。また、悲しいかな、読破しようとしてもダメ本(自分でそう思っているだけですが・・・)との遭遇もあります。ストーリーの展開が複雑、難解過ぎると「完読は無理だ!」「時間がもったいない!」などガッカリして早々に見切りをつけてしまいます。
 その反対に自分に感動を与えてくれる本との出会いは、運命にも似た喜びを感じます。ちなみに、私が去年1番感激した本「成瀬は天下を取りにいく」(宮島末奈氏)は、なんと今年の本屋大賞1位を獲得しました。読者冥利につきます!現在、私の1番のオシ本は「めざせムショラン三ツ星」(黒柳佳子氏)です。刑務所管理栄養士さんと、若い受刑者たちと涙と笑いの実録記ですが、心温まるエピソード満載で、何か賞を取ってほしいものです。
 ところで、なぜ私が全ての本を図書館に頼るか疑問の方がおられるかもしれませんが、理由は簡単です。昔、父の仕事関係の蔵書の重さで家の床が抜けたのでした。
 「ちりも積もれば山となる」ではありませんが、「本も積もれば床沈む」です。
 
 
写真:樫村慶一さん
文:町田香子

 

 

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5月(1)

 
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気配り 女子  

 

 最近、駅の雑踏や混み合う電車内でも、すれ違いざまに肩でも触れると「あっ、すみません!」と律儀にも言ってくれる若い女性に出会います。すると、嬉しくなった私は「いえいえ、全然大丈夫よ~!」と思わず反応したくなりますが、年を考えニッコリうなずくだけに留めます。以前から、足を踏まれてスルーされたり、歩きスマホの人に正面からぶつかりそうになったりと怖い経験があるのでなおさら感じます。
 現代の殺伐とした世の中で、他人に優しく気配りのできる素敵なお嬢さんは、どんなに優しい親御さんに育てられたのだろうと想像して、心がほっこりとなります。そういえば昔、マイカーをバリバリに運転していた頃、横断歩道の無い道で子どもたちが手を上げたり、会釈をしながら渡る姿に運転席の私は、その可愛さと素直さに「オー、どんどん渡っていいわよー、いくらでも待つわー!」と感激したものでした。今さらながら、この感激ってどこから湧き出るのかなと自分なりに考えてみると、やはりそれは相手への思いやりや気配りからくるのではないかなと思うのです。小学生のとき「人にされて嬉しいことは他人にしよう、されて嫌なことはしてはいけない」と教わった道徳の授業を思い出しました。
 先日、K-unetのサテライト会に参加、今をときめくチャットGPTに関する講演をお聞きしましたが、どんな優秀な機械でも、まだ人間の感情は理解できないそうです。でも、それはそれで、これ以上開発しなくてもよいような気もしています。なにせ、どんな機械もかなわない、温かいナマの言葉をかけてくれる、無敵の気配り女子がいると知ってしまったからです・・・。

 

映像:坂口行雄
文:町田香子

 

 

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4月(2)

 

 

 

 

姪っ子は 可愛い

 

 私には、心置きなくメールを交換し合う姪っ子(兄の長女)がいます。年はアラフォーですが、今でも私のことを「かおちゃん、かおちゃん!」と慕ってくれています。両親が長身なだけあって、ピンヒールを履くと170センチ以上にもなってしまうモデル体形は羨ましい限りです。小学校から大学までの一貫教育のせいか、どこかホンワカしていて、せっかちで慌て者の私とは正反対ですが、なぜかウマが合います。受験知らずで、競争心の無い彼女ですが、不思議なことに水泳大会に出れば優勝してしまうし、ピアノの発表会に聴きにいけばいつのまにか、ベートーベンを弾きこなせているはで、な~んでも一通りはできてしまうのでした。だから、何かひとつを究める情熱が無いのか、ほどほどのところでやめてしまう姿に、この不器用な叔母は、「もったいないなあ~」と思っていました。
 いつも彼女といると、こちらまでオットリふんわり気分になるのですが、あるとき、この子はけっこう強いポリシーがあるかもしれないと感じた出来事がありました。
 同級生の中で一番就職活動に積極的でなかったのに、超有名企業に合格したときは、まわりがドッと驚きました。しかし、もっと驚いたのは、「ジュエリーデザイナーになりたい!」という沸々とした自分の夢を捨てきれずに、勤務終了後にアクセサリー専門学校に通い、卒業に際しての「ジュエリー作品発表会」に私を呼んでくれたのです。親心ならぬ叔母心で、お祝いに彼女らしいシンプルでスッキリとした小さな緑の石の指輪を買いました。その後、彼女は退職し、顧客がつくようなデザイナーとしての道を歩んでいます。
 今でも、何か私に話したくなるときは、「かおちゃん、一緒にごはん食べませんか?」と突然メールが来て、ドキンとします。なにせ、10年前彼女が結婚を決めるときがそうでしたから・・・。彼女と会うときには、私の小指にしか入らないあのとき買った指輪を必ずつけていきます!
 
写真:会員の皆さん
文:町田香子

 

 

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4月(1)

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10年ぶりの 屋形船  

 

 「野崎参りはよ~、屋形船でまいろ~♪」
 東海林太郎の歌ではありませんが、このたび屋形船に10年ぶりの同期会で乗ってきました。隅田川から東京スカイツリーを見上げ、東京湾に出て東京タワー、レインボーブリッジを通り、最高のロケーションで夜桜を愛でるという宴会コースでした。気を利かせた女子幹事が、桜の開花予想をいち早くキャッチし、3月22日とピンポイントに予約しました。おまけに、彼女が参加者全員の乗船代を1ヶ月前から先払いするという、準備万端整った会だったのです。
 しかしです!当日は、朝の気温は3度!桜の開花どころか、堅く閉ざしたままの緑のつぼみに、開花日は見事に裏切られました。夜7時、凍りつきそうな川面を見ながら辿り着いた、勝どき乗船場。船内に乗り込んでも寒いので、コートを着たままの乾杯スタートです。元気なのは、この船の司会兼ガイドで、人力車を引きそうな、いなせなオニイサンだけです。
 そのうち、豆絞りハチマキでお神輿を担ぎそうなオネエサンさんたちが、一人用すき焼き鍋の青い固形燃料に火を付け始めると、一気に室温が上がりました。いやはや、船窓は締め切ってあるので、暑いのなんのって!皆セーターまで脱ぎ始めるではありませんか。
 その勢いで宴もたけなわになると、あのいなせなオニイサンが、なんとフランス語やドイツ語を駆使して外国人観光客の紹介を始めたのです。また、どこで仕入れた情報か、「今日は〇〇家のお祝いだそうで、ご子息の卒業とおじい様のお誕生日、おめでとうございま~す!」と叫ぶと、乗船客から、「ウオー、いいぞー!」と、歓声が上がり拍手の嵐の中、世界は1つだという連帯感に包まれました。
 結局150分の船内宴会は、あっという間にお開きとなり、外の夜景をあまり見なかったわと悔やみながら下船しました。これは、10年前と全く同じで、単なる居酒屋仕様で屋形船に乗ってしまったことを思い出しましたが、あとの祭りでした・・・。
 

 

映像:坂口行雄
文:町田香子

 

 

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3月(2)

 

 

 

栄養改善の 実験対象者に 選ばれて

 

 先月突然、神奈川県立某福祉大学から、ぶ厚い封筒が送られてきました。
 何事か?と恐る恐る封を開けてみると、「肴好に合わせた食品選択での食事介入が、栄養状態の改善に有効かどうかという研究に協力していただけないか」という小難しい内容です。
 fitbit(上)、体重計とスマホ(下)
 頭をフル回転させ、何度も読んで理解したのは、毎年、市立病院で特定健診を受けていた私のデータが「体重は重くはないが、コレステロールが高い割に体脂肪が少ない。いったいこの人は毎日どんな栄養状態なのか?よし、この人をターゲットにしてエネルギー・たんぱく質を毎週補充、プロのアドバイスを元に、食生活の改善に伴い健康管理をしてあげようじゃないか!」ということらしいのです。
 「ムム、これは研究材料にされてもよいかな?」と決心できたのは、なんと今年8月までの半年間に食費49000円が謝礼金としていただけると明記されていたからです。家族も恩恵を感じるのか喜んで、「いいねえ~、棚からボタもちだ!」などと、やけに応援します。当日は背中を押されるように出かけましたが、会場に着いた途端、大勢のシニアと共に身体測定に並ばされ、山のようなアンケート(食べ物の嗜好、健康価値観)に答え、今日から必要な器具、「オムロン体重計、腕に装着して健康管理データが管理できるFitbit、栄養管理士からのアドバイスに使うラインアプリが入っているスマホ」等が貸与されました。疲れきったところで、研究方法の説明として、「週1回、指定されたネットスーパーから購入したい食材をスマホのラインで栄養士さんにお伺い→アドバイスに従って食材変更→OKが出たなら注文購入、配送された食材をスクリーンショットで栄養士さんに送る→その食材を使った料理の写メを再度栄養士さんに送る、という一連の超面倒なシステムが待っていたのでした・・・。「タダより怖いものは無い」。
 今後「まちだより」に何かご報告できるようでしたら、書かせてください!
 
写真:コンテスト応募の皆さん
文:町田香子

 

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3月(1)

 

 

 

 

 

睡眠妨害の 相手は・・・  

 

 最近、朝の目覚めがスッキリしません。万年、睡眠不足はもう慣れっこですが、どうにも日中ボーっとしてしまうのは困ったものです。そしてこの原因に思い当たる節はただ1つ、うちの飼い猫「ピー子」です!そうです、昨年度 k-unet PCアートコンテストで大賞をいただいたあの白黒ネコです。
2022年度コンテスト大賞受賞作品

 いまや13才の高齢彼女に寒さがこたえるのか、はたまた、うちの暖房器具が老朽化しているせいか、夜中に私の布団に忍びこんでくるのです。まずは丑三つ時(午前2時頃?)に、「ニャー、入れてくださーい」とばかりに可愛い鳴き声で甘えてきます。この甘え方がくせ者で先月、「背中の撫で方が悪い!」と彼女からネコパンチをくらい私の顔を「切られ与三郎」にしたことも忘れています。まったくあの時ほど、ピー子から「ワル子」というネコ名に変更したくなったことはありません。それでも、彼女の寒そうな声にほだされて布団を5センチほど開けてあげると見事なホフク前進で進入成功、その後は私のお腹の上をあちらこちらと横断、毛づくろいに励んで疲れると、水を飲みに出たりと自由気ままにやりたい放題です。もう来ないだろうと高を括っていると、とんでもない、ツー・ラウンド目は午前五時頃に、再度キンキンに冷えた身体でまたヌッと入ってくるのです!もう今度は、私のほうが「ヒエ~、冷たい!」とバッチリ起きてしまいます。さすがに、あまりの傍若無人さに「私の寝床はアンタのほこらじゃない!」と叱ると、「フン、なにさ」と冷ややかな目で睨み返されました。
 毎週土曜日の朝日新聞の4コマ漫画「コロコロ毛玉日記」を愛読していますが、作者の飼い猫「テツ」も同じようです。作者も私と同様、寝る前に必ずベッドの中で本を読むそうですが、横になりながら自分と本を持つ手の間に猫の顔があるという絵に、思わず吹き出してしまいました。
 ネコの13才は人間の68才だそうですが、今年68才になる私とピー子の真冬の攻防戦は辛いけど、なるべく長く続いてほしいなと思っています。

 

映像:坂口行雄
写真:樫村慶一
文・写真:町田香子

 

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2月(2)

 

 

 

日吉台地下壕 見学ツアーに 参加して

 

 神奈川県港北区日吉の慶應義塾大学構内にある「日吉台地下壕見学ツアー」に参加してきました。旧帝国海軍が残した連合艦隊司令部地下壕をいつか見たいと思っていたからです。約40名の参加者は、まずは日吉台地下壕保存会のガイドさんから、注意事項のレクチャーを受けました。「急な坂道、水溜り、壕の中の排水溝に足を取られないこと、また撮影禁止個所有りで、撮った全ての写真はなるべくSNSには流さない」等々でした。そして4班に分かれて、自然豊かな緑に囲まれたキャンパスから、山すそにある通称「まむし谷」に行くまで、今回の戦争遺跡見学という目的が無ければ、まるでハイキングのような爽快感です。それが地下壕に入り、持参の懐中電灯を照らすや否や、言いようもない暗澹たる気持ちになりました。
 張り詰めた静寂、緊張、そして無言の脅威・・・。
 この地下壕建設が始まったのは、1944年サイパン陥落後で、最初に連合艦隊司令部が設置され、終戦までのたった1年間に、神風特攻隊や戦艦大和の出撃命令がこの壕から出されたということでした。迷路の中は、指令長官室、暗号室、作戦室などがあるようですが、機密を重んじて当時の資料や写真もないため明白なことはわからないようでした。途中、ボランティア・ガイドの女性が、特攻隊が体当たりで爆撃するときの「ト・ト・ツー・ト・ト」という実際の発信音を流してくれましたが、「この音が聞えなくなったときが飛行機もろともに爆撃が終わったときです」との案内に、私も含め多くの方が涙しました。
 見学終了後に、80才位の方が「防空壕から1歩外で遊んでいた子どもが空襲でやられたと聞いたことがあるんだ・・・」と言葉少なに語る声が聞えました。また、この見学ツアーを取り仕切る「日吉台地下壕の保存の会」の市民活動が、この戦争遺跡の永久保存を目指して35年の歴史があるということに感銘を受けました。そして、悲惨な戦争で亡くなった人々の無念さを思い、あらためて平和の大切さを思った1日でした。
 
写真:樫村慶一
文:町田香子

 

 

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2月(1)

 
☞ 右のVENUSボタンをクリックするとそのほかの入賞作品をご覧いただけます。
 
このボタンをクリックすると、コンテスト各部門の2位、3位の入賞作品の一部をご覧いただけます。コンテストの全体はコンテストのページをご覧ください。

 

 

 

 

追悼  八代亜紀さん  

 

 歌手である八代亜紀さんの突然の訃報に驚きました。トラック野郎や遠洋漁業の船員さんたちのマドンナであり、歌えばハスキーヴォイスの哀愁を誘う低音!私のようなどうしようもないダミ声女には、なんとかカラオケで唄える救世主のような歌姫でした。曲がりなりにも彼女の演歌は私の十八番でした。1971年のデビューの頃は、ふんわりとした茶色の盛り髪に挿したキラキラした髪飾りや、光輝くスパンコールの揺れる衣装は、大人の世界の女性の香りがムンムンしていました。そして、触れてはいけない過去を持つミステリアスなイメージの人でした。
 「熊本県八代市生まれでバスガイド出身、プロになるまでには長い下積み生活があった」くらいしか、人となりを知る由もなかったのですが、このたびの訃報にあたり、毎日のように流される彼女の陽気でポジティブな生き方の報道に、まったく違った人生が垣間見れました。
 アメリカの歌手であるジュリー・ロンドンの影響を受けて歌手になったこと、2013年にはジャズ歌手としてニューヨークの舞台に立ち、2015年から箱根親善大使に就任したり、画家としてもフランスの絵画展に入選していた、等々です。そして、ボランティアにも積極的で、東日本大震災のときには八代産の畳を届けたり、熊本地震でも避難所訪問して人々を励ましたという記事もありました。
 彼女曰く「ヒットした自分の歌は、自分の生き様ではないです。女性の代弁者として歌っているのです」という言葉に、人生における、愛だの恋だのに振り回されない、強く生きていく女性の姿を感じました。大好きな彼女の歌の中に「もう一度逢いたい」というタイトル曲がありますが、まさしく彼女こそが、私にとってもう一度逢いたい人です。

 

映像:坂口行雄
文:町田香子

 

 

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1月(2)

 
2023年度PCアートコンテスト大賞受賞作品
矢部靜樹さん 組写真 沖縄の”花と蝶”
2023年度PCアートコンテスト大賞受賞作品
矢部靜樹さん 組写真 沖縄の”花と蝶”
 

 

 

 

 

初夢に想うこと  

 

 あっというまに新年も半月が過ぎてしまいました。素晴らしい初夢を見た方は、しばし希望と幸せに満ちた年の初めだったのでは!「一富士、二鷹、三茄子」が夢に出てくれば、その1年が縁起の良い年になると伝えられています。
 私といえば、若いときからこの初夢を期待して「なかきよのとおのねふりの・・・」の歌を書いた紙を枕の下に入れて寝ます。しかしながら、いつも期待ハズレもいいとこで、吉夢というより見るのは残念な悪夢ばかりです。今年の初夢は16年前に看取った愛犬コムギが久々に登場、楽しい散歩に出たところ、そのうち道に迷い、なぜか一緒に川にドボン!悲しいかな、ここでコムギを捜すはめに・・・。去年の夢に至っては、他人の家に入り込み、そこの夕ご飯を無断でムシャムシャ。どの夢もあまりの切なさと罪悪感で目覚めていました。最近は、この正月悪夢の原因は、三が日を暴飲暴食で過ごし、いつ起きていつ寝ているかよくわからない怠惰な日々のせいではないかと思い始めています。
 初夢に限らず、自分がストレスを溜めこんでいるときによく見る夢もあります。それは、なんと私が母を怒っている夢なのです。父の後ろを3歩下がって歩き、専業主婦の鑑のような母が、なんと夢の中では、家事をせずどこかへ遊びに行ってしまうのです。これは、過去に実際、私が母に怒られていた場面の逆バージョンなのです。親を怒るようなわけのわからない夢を見て飛び起きた朝は、自分の不甲斐なさに落ち込みます。そのたびに、夢判断の本やネットを読み返すのですが、「母の夢を見る」→自立心の高まりであり、「母を叱る」→ストレス解消の吉夢である、と書いてあります。さらに「吉報を待ちながら、人に誠実に接していれば幸運が届くであろう」と、結んでいます。本当かどうかは別にして、とりあえずは誠実かつ、辰のように強いパワーでこの1年を過ごし、吉報を待ちたいと思います。

写真:矢部靜樹
文:町田香子

 

 

 

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1月(1)

 

 

 

 

ドネイション 成就!  

 

 

あけましておめでとうございます!
 
 約3年半伸ばした髪の毛をバッサリ切って、少々首筋がスースーしますが、清々しい新年を迎えています。
 2022年10月―1号にも書きましたが、あの念願だったドネイションを果たしました!すでに去年の夏ごろから、長すぎて切りたくてしょうがなかったのですが、いざカットの予約日が近づくと、いったいどんな顔になるのだろうかと心配になりました。高校3年のときに、おさげ髪を切ったら、「女三四郎」と呼ばれ、はては「モンチッチみたい」と言われた苦い思い出が蘇りました。

 複雑な気持ちのまま、美容院に行ってカット椅子に座ると、店長曰く「長い髪を切るのは嬉しいですね~」とやる気満々のご様子。
「先日も、ドネイションで青年の見事な黒髪を切りましたよ!
まさにカラスの濡羽色ってやつですよ。美容師冥利につきました」と聞いてもいないことをペラペラと・・・。立派な黒髪の青年までが参加する活動なのだ、私のようなシニアのパサついた髪は見劣りするだろうなあと思いつつ、あらためてドネイション規定が頭に浮かびました。「小児用医療用ウイッグとして、頭髪に悩みをもつ子どもたちに無償提供すること。クセ毛、白髪や量に関係なく、髪を小さい束に分けてゴムで結び、カットした髪は本人が活動団体に郵送すること」等と思い出していると、ジョリジョリというハサミ音が耳元でし始めました。テーブルに髪の束が並べられ、ふと目前の鏡に映った我が顔に愕然!やっぱり、そこには、ふけた「女三四郎」が!それも今回は、ザンギリカットです。思わず明治時代にヒットした「ザンギリ頭を叩いてみれば、文明開化の音がする」という俗謡が浮かびました。
 
 新しい年に断髪町田は、より一層開化した「まちだより」を書いていく所存です。
 今年もどうぞよろしくお願いいたします!

 

写真:樫村慶一
映像:坂口行雄
文:町田香子

 

 

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